短歌ヴァーサス 風媒社
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2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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伊勢谷小枝子

 
呪い

 5月13日(土)、新宿のネイキッドロフトで行なわれた、辰巳泰子さんの【辰巳泰子の歌会と朗読ライブ――聖夜】に行ってきました。ネット上の歌会には参加したことがありますが、リアル歌会には初参加です。朗読もあるとのことで、恐れ多くも最前列(端)を確保。配布された詠草の紙をなんとなく裏返すと「作者名」の一覧が! 見ないように見ないように見たい見ないように見たいががまん。
 詠草を一首ずつ、辰巳さんが読み上げられるのですが、その瞬間、その作品が辰巳さんの世界の一部になるように思います。(昨年の夏、書店のイベントで応募された短歌がまとめて読み上げられたとき、それはもう辰巳さんの連作のようでした。)作品を引用してよいのか確認をとっていないので、引用せずに書きます。わからなくてすみません。お題は「風」でした。私は「風化」という語で詠み込んだのですが、もしかしたらあまりよくないことだったかもしれません。わかってなくてすみません。
 ある作品について、辰巳さんが「呪いのようだ」ということをおっしゃったあと、「あとで、もっと呪いの歌があるから」と。あー、まさかそれが私の歌だとは思いませんでした。私が最も好きな作品は、「静かな離れ方」と評されたもの。「別れ」ではなく。これが成仏というものなのか。(それは翌日の、別のイベントでの話題。)さて私の作品の番が来ました。「これは、呪いやね。帰ってきて、この歌がポストに入ってたら、いややもん」(口調は、この通りではないですが、やわらかい関西方面の言葉で)と! 呪い!(←びっくり吹き出しで囲って、メモ。) 「ひとつめ、ふたつめ……と、増えていったらもっとこわい」とのお言葉に、他人事のように大笑いしました。そして翌日、短歌つながりの人に「伊勢谷さんは、(作品について)どう言われたら、成功、と思いますか」と聞かれ、「これは、呪いやね」と答えました。辰巳さんの妖艶でやわらかい、でも強い朗読については、また別のときに書けたら、と思います。ありがとうございました。
 
 もともとはあなたのだった孵らない卵がひとつ風化しました (伊勢谷小枝子)
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