短歌ヴァーサス 風媒社
カレンダー 執筆者 リンク 各号の紹介 歌集案内

★短歌ヴァーサスは、11号で休刊になりました★
2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
← 2006.5.24
2006.5.25
 
2006.5.26 →


伊勢谷小枝子

 
もう髪も

 雑誌「Style」の5月号に読みたい記事があり、でも気づいたときはもう6月号が出ていて、バックナンバーを注文したもののもう手に入らず(返品されないシステムがどうのこうの)、近隣の街の図書館でも置いておらず、こういう女性向けファッション雑誌のバックナンバーって古本屋にあるのですかね、探してもなければあとはもう国会図書館しかない、と思ったら、国会図書館には創刊第1号しかなさげな。だから髪を切りに行きました。美容室にありそうな本だから。でもなかった。帰って別の美容室に行こうかと思ったけど、思いとどまる。そういえば、この美容室が開店した頃に一度来て、「まだカード使えません」という貼り紙を見て、帰りそうになった。「や、現金はあるんですけど、カードのポイントためるのが好きなので」とか言いながら。冬には、美容師さんが外で雪かきをしているし、お客さんもいなさそうだし、と余裕で入ったら「今日は予約でいっぱいで……」と言われ、「これで?」と思った。強く思った。もしかしたら言ってしまったかもしれない。言ってませんように。でも冬は、その美容室のおかげで床が暖かいので、文句は言わない。わざわざ感謝も伝えないけど。私の部屋の真下がその美容室なのです。でもそんなことは秘密で、「帰宅して、部屋が寒いなーと思ったら、火曜日(定休日)だったんですよねー」とかは言わない。
 髪を切られるときは、希望を伝えたのち、話しかけないでくれオーラを出し、たいてい半寝、ときどき本寝。前髪を切られるときに寝ていると(ガクッ、となる)たいへん危険。「パーマかけたことはあるんですか」「ありますけど、もう、何年も前で、すっかり、生え変わり……?」何年で生え変わるのだろう。
 数年前、枡野浩一さんの載った雑誌の話をしていて、自分ではまだ見ていなかったので「どんな写真?」と聞いたら「もう、髪も伸びられて」←史上最強の敬語(第1位)です。(第2位は、キャンドルサービスのロウソクの火が消えたときの「あ、消えてしまわれた」です。)私の髪も早く伸びられて切られたい。今回とは違う美容室で。そして「Style」5月号を探す。
← 2006.5.24
2006.5.25
 
2006.5.26 →