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■内容説明
「あの戦争の悲惨さを後世に伝えたい」――。敗戦60年を経て、なおぬぐいえぬ60人の戦争体験が新聞紙上に届けられた。兵士として、銃後の民として、母として子として、否応なく味わわねばならなかった苛酷な生と死の記憶。中日新聞話題の連載を単行本化。
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■目次
まえがき
戦争体験を“バックミラー”に 早乙女勝元
T あの日、街は火の海になった
……空襲……
焼夷弾 空も燃やした/あの日が僕の命日/弟妹は身を寄せあって死んでいた/模擬原爆の恐怖今も/茶色い米で空腹紛らす/爆音、火柱 恐怖の一夜/一トン爆弾に体が揺れた/遺体の父、財布奪われて/火の海 井戸で命をひろう
……ヒロシマ……
被爆者の声が頭から離れない/赤い炎が広島を覆った/被爆救護 異臭とウジの地獄絵図/原爆症の怖さ…今なお不安はつのる
U 命はこんなにも軽いのか
……動員された子どもたち……
私たちは戦争の“部品”にされた/軍に隠された大空襲の惨劇/大地震 兵器工場の壁の下敷きに/子どもが働き、死ぬ時代/B29の技術力に衝撃/朝鮮人三百人がすし詰めに/空腹と涙の地下壕
……「銃後」の暮らし……
食料奪い合いに明け暮れた疎開生活/腹が減ると薬も食べた/コメは数粒でも命の重湯/少ない米と着物と交換/心凍った「非国民!」/朝鮮人差別は学校でも/同胞差別にも疑問抱かずいた自分
V 父よ、友よ、男たちよ!
……〈軍隊〉とは?……
赤紙配達で見た真実/戦地から苦心の伝言/戻ってきた家族写真/入隊 理不尽な“洗礼”/教師出身者によってたかってリンチ/愚かだった勇ましさへのあこがれ
……〈戦場〉とは?……
特攻志願、本心は“生きたい”/将来ある身が次々特攻/「伏竜」訓練で多数が犠牲に/「殺し合い」はもういかん/砲弾の中を命の助け船が/大和の黒板に「死に方用意」の文字が/引率の九人、土踏めず/「大和」と沈んだ戦友/仲間の遺体を焼いた夜/次々息絶える負傷兵を前に……/最期の声「お母さん」
……抑留生活……
飢えと厳寒――生に執着した日々/極寒の重労働、死は隣にあった/満州で聞いた「広島壊滅」/飢餓地獄…無人島での抑留生活
W 敗 戦
……満州棄民……
強制された入植、そして死の逃避行/開拓団 家族ばらばらの運命/引き揚げ船から投げ落とされた遺体/逃げ場なく集団自決/毒ガス弾、井戸に投げ込み隠滅/「生きて帰る」――それだけが支えだった
……敗戦……
米軍ビラで敗戦を予感/近くの土手で“修学旅行”/二人の兄の死…心配が現実に
……引き揚げ……
闇船で命懸けの脱出/砲弾処理失敗、避難列車吹き飛ぶ/母に自決を促した一発の銃弾/暗号解読で「降伏」を知った/極刑恐れた戦犯裁判
X 終われない戦争
……終わらない戦争……
夫の最期を知りたくて五十年/母に“死ね”と言われて/終戦後もつづく長い苦しみ/捨てられた赤ちゃん/空襲孤児 働きづめの人生
……あの戦争を忘れないために……
不戦の教えを貫いた先生/隠れて食べた母のおにぎり
あとがき |
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