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格差社会の宗教文化
「民衆」宗教の可能性を再考する

著者: 熊田一雄

本体価格: \1,600(税別)
サイズ: 四六判並製 188頁
ISBN: 4-8331-1145-4
発行年月: 2022年6月刊

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■内容説明

弱肉強食の論理を助長する新自由主義に対して、いかなるオルタナティブが可能なのか。明治日本の宗教界にあった「侠気」の現代的意味を探り、天理教の事例に「暴力をやわらげる方法」の手がかりを見出すなど、「民衆」宗教と社会の関係をときほぐす。
 

■目次

はじめに

▼ノートT 現代日本におけるグノーシス主義の潮流
第1章  小説『1Q84』における悪の表象について
1 はじめに―『1Q84』と悪の表象―
2 「リトル・ピープル」とは何か
3 村上春樹とラヴクラフト
4 グノーシス/実存主義/ラヴクラフト
5 おわりに―非社会的個人主義と悪の表象―


▼ノートU 新自由主義と〈侠気〉―「鬼滅の刃」―
第2章 明治日本の宗教者とエートスとしての〈侠気〉
1 問題の所在―「エートス」としての「侠気」 ―
2 大衆文化における幡随院長兵衛もの
3 新渡戸稲造の場合
4 牧口常三郎の場合
5 結論―新自由主義と「侠気」のゆくえ―


▼ノートV 宗教と「暴力のアート」
第3章 天理教教祖と〈暴力〉の問題系
1 教祖の幼少期と暴力
2 天理教と民衆による暴力
3 力試しの話―教祖による説明―
4 天理教は暴力を肯定したか?
5 DVの問題
6 教団への迫害
7 現在の天理教―「子ども食堂」の挑戦―


▼ノートW 日本の宗教とフェミニズム
第4章 天理教教祖は強い父の夢を見たか?
    ―日本の宗教界と宗教学の共犯関係―
1 天理教教祖と家父長制
2 天理教教祖の改良主義
3 天理教教祖の夫・善兵衞について
4 教団初期の女性布教者の事例
5 天理教と日本の宗教学の共犯関係
6 天理教と東大宗教学(1)
7 天理教と東大宗教学(2)
8 天理教教団とバックラッシュ


▼ノートX 天理教と近代日本の家父長制
第5章 天理教の男性カリスマの研究―関根豊松の事例―
1 はじめに
2 稀代のカリスマ
3 「戦前の男」としての関根豊松
4 「雛型の道」を踏む
5 日本舞踊の影響
6 おわりに


▼ノートY 「人たすけたら我が身たすかる」を再考する
第6章 日本の宗教における信仰治療について
    ―天理教の事例から―
1 はじめに
2 天理教教祖と「人たすけたら我が身たすかる」―「手引き」と「ためし」―
3 「入信即布教」と現代的な自助グループを再考する


▼ノートZ 認知行動療法ブームへの疑問
第7章 不安障害の信仰治療について
    ―天理教の事例から―
1 はじめに―ある天理教信者の信仰体験記―
2 不安障害と精神科医療
3 「たすかりたい」から「たすけたい」への転換
4 薬物療法中心主義の問題点
5 おわりに―「生活の知恵」の欠落―


▼ノート[ 修行コースの可能性とアフターケアの必要
第8章 日本の宗教と「斜めの関係」
    ―天理教と脱ひきこもり―
1 不登校・ひきこもりと日本の宗教
2 天理教信者の体験談
3 「無用者」との「斜めの関係」の重要性
4 日本アニメにおけるムーミンとスナフキン
5 日本の宗教界と「斜めの関係」


おわりに
 
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