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■内容説明
時空にとらわれない天地〈イーハトヴ〉を舞台に繰り広げられる、賢治のユニークな作品世界。〈自然〉への憧憬と畏怖を描いた賢治の作品を読み解く。中部児童文学会の機関誌『中部児童文学』連載を単行本化。
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■目次
はじめに
1章 賢治さん、『赤い鳥』へ挑戦
1『注文の多い料理店』の序と『赤い鳥』の標榜語
2『赤い鳥』に賢治童話が無い! / 3 賢治さん、就活す─大正七年
4 創作童謡童話募集─『赤い鳥』
5 無職無宿のならずものの嘆き─大正八年
6 勉強のために来春東京に出る─大正九年
7 童話作家への正否をかけて / 8〈賢治童話の出発は大正十年〉説を疑う
9 処女作は大正七年ではないか / 10 赤い鳥社の編集室で
11『赤い鳥』をあきらめて / 12 童話集の「序」は「標榜語」への挑戦
2章 オツベルは死なない ─「オツベルと象」を読み直す─
1 オツベルかオッペルか /2 「オツベルと象」のあらすじ
3「オツベルと象」のこれまでの読まれ方 / 4 オツベルの死の描き方
5 オツベルの消息を訊いたのは誰? / 6 オツベルとは誰なのか
7「オツベルときたら大したもんだ」は反語か?
8 副題「……ある牛飼ひがものがたる」の意味 / 9添え書きについて
10最後の二行の二つの問題 /11昔話の結びのことば
12グリム童話の結びのことば / 13消えた一文字
14「さびしくわらつて」の周辺 / 15ここまでのまとめ
16大正十五年頃の賢治さん /
17賢治さんの社会主義的作品「ポラーノの広場」 / 18「なめとこ山の熊」
19「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」
20「きみたちがみんな労農党になってから」
21「オツベルと象」は境目の作品 / 22「寓話 猫の事務所」について
23「オツベルと象」は「猫の事務所」に酷似している
24時代を先取りするものの現実
3章 賢治さんの、古いありふれた宝壺
1 グスコーブドリやジョバンニ / 2 うるうるとのんのん
3 吉本隆明も絶賛 / 4 にぎやかな昔話の擬音語
5 泣いて泣いて泣いて泣いて泣きました
6 動物昔話と賢治さんの動物童話の類似点
7 動物昔話と賢治さんの動物童話の違い
8 昔話の異郷はどんなふうに描かれたか / 9 賢治さんの異世界
10異世界への行き方(1)─「どんぐりと山猫」型
11異世界への行き方(2)─「注文の多い料理店」型
12「赤え障子」と「水いろのペンキ塗りの扉」 / 13ルイス・キャロルか昔話か
14賢治さんの宝壺 / 15水野葉舟氏の感想
4章 人間を描く ─賢治さんの方法を追って─
1 始まりは手さぐり / 2 賢治さんの童話を三つに分けてみる
3 分類した作品群とその配列のしかた / 4 異世界の物語・A型に属する作品
5 異世界と人の交流物語・B型に属する作品 / 6 人の物語・C型に属する作品
7 使用原稿用紙から見えるもの / 8 型の分布 / 9 手始めはやはり昔話的
10中期前半の中心は、異世界と人の交流物語 / 11中期後半は、人の物語
12後期は、長編代表作の時代 / 13賢治さんへの外国文学の影響
14ファンタジーの方法 / 15アンデルセンから学んだもの
16初期形変化の方向 17ほんとうに描きたかったもの
5章 「イーハトヴ童話」という果実
1 イーハトヴと法華文学 / 2 イーハトヴ・イエハトブ・イーハトーボ
3 構想されたのは、大正十年か / 4 岩手県とはつかず離れず
5「イーハトヴ」は時空を超えた世界 / 6「古風な童話としての形式」
7「法華文学」とのつながり / 8「法華文学」は仏教童話ではない 0
9 賢治さんの仏教的童話
10「法華文学」とは、「イーハトヴ童話」のことではないか
11「鹿踊りのはじまり」 / 12「狼森と笊森、盗森」
13「注文の多い料理店」 / 14「なめとこ山の熊」
15B型の「異世界」は、自然界です / 16賢治さんの自然観
17自然の中に賢治さんが見たもの / 18自然とは何か
19〈自然〉の文学 / 20「純真ニ法楽」する文学の成立
参考文献一覧 |
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