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生き延びるための地理学
東日本大震災 被災地で考えたこと

著者: 溝口常俊

本体価格: \1,600(税別)
サイズ: 四六判並製 236頁
ISBN: 4-8331-3187-2
発行年月: 2023年5月刊

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■内容説明

震災や津波に対して「想定外」で済ませないために、地理学に何ができるのだろうか。被災地で積み重なってきた津波の記憶をひもときつつ、「生き延びるための災害対策」として、半地下シェルター「やどかりプラン」を提言する地理学者の思考の軌跡。
 

■目次

はじめに

第1章「想定外」で考えをやめてはいけない
【仙台から石巻へ2011年6月】
(1)東北新幹線内での励ましのメッセージ―冊子『トランヴェール』より
(2)塩釜神社と瑞巌寺―津波を弱めた松島の島々と聖地論
(3)石巻実習報告書―完膚なきまでに叩きのめされた23人の調査地
(4)雄勝・女川・石巻―墓の上にまで流された車
(5)東北大学エコラボ―Thinkglobally、Actlocally
(6)仙台空港・閖上―天井破損の空港と2時46分で止まったままの閖上中学の時計
(7)荒浜・仙台港・東松島―イグネに守られ、縄文君に元気づけられた
(8)三陸地方の言い伝え―津波てんでんこ
(9)「想定外」で逃げない私案―命を守る「やどかりプラン」

第2章これまでにない復興プランが求められている
【南三陸から田老、そして南相馬へ2011年11月】
(1)南三陸・気仙沼―避難を呼びかけ続けて津波に飲み込まれた遠藤未希さんに合掌
(2)陸前高田―大学の出張校舎での町おこし実践案
(3)大船渡―福富ホテル三代目女将の語りより
(4)釜石・大槌―吉里吉里小学校に二宮尊徳像復活
(5)宮古・田老―万里の長城を越えた大津波
(6)南相馬市と放射線量―職場も医者も半減し、町は年寄ばかり

第3章過去帳は語る
【寺詣で学んだこと2012年11月】
(1)閖上―安全神話の貞山堀が命取り
(2)塩釜・松島―おいしおがま丼
(3)石巻・女川―消えてしまった地理研石巻実習時の宿と女川港
(4)陸前高田の長円寺―幕末に巨大隕石が落ちた寺
(5)田老の常運寺―檀家思いの僧侶が位牌を一喝
(6)釜石の仙寿院―「やどかりプラン」論戦
(7)大船渡の本増寺―海外からの救援者に宿舎を提供
(8)宮古の本照寺と長根寺―仏説三種六動

第4章積み重なった津波の記憶をひもとく
【八戸から仙台まで2015年3月】
(1)八戸・階上―鬼は内とそばは五色
(2)種差海岸―明治三陸地震で流された神社の再建
(3)久慈―やどかり君の水槽
(4)山形・田老―北上山地最北の短角牛牧場・大堤防と道と墓だけの町
(5)宮古・山田―避難用の公民館が流された・山田浦から始まるオランダ交流物語
(6)大槌・大船渡―無残な大槻役場庁舎、時計は3時27分のまま・大船渡屋台村
(7)陸前高田―山を削って土砂運搬パイプでかさ上げ地造り
(8)気仙沼〜仙台―海の色だけが青々しく、その色に癒される人はもういない

第5章被災地は、いま【大船渡から仙台まで2018年6月・2022年10月】
(1)2018年6月―高層防波堤建造中の風景と子供たちの誓い“まけないよ”
(2)2022年10月―堤防と道路と公園に変わった海の見えない風景

付章1太平洋沿岸の飢饉・津波被災地巡検
(1)青森県八戸市―天明飢饉時の飢え人救済
(2)静岡県伊東市―寺院過去帳による死者数の推移
(3)静岡県沼津市―住本寺と山津波
(4)静岡県富士市―ディアナ号がやってきた!日本人とロシア人に生まれた心の絆
(5)高知県黒潮町―大津波襲来の危険度が最も高い黒潮町の民宿にて

付章2「やどかりプラン」の勧め

参考文献

おわりに
 
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