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■内容説明
祖国へ戻るか、この国に残るか。ふたりには出口がなかった。逃亡の道を択び、無事に祖国へたどり着いたとしても、一夜あければ、拒んでも拒みきれない重圧がのしかかるのは眼に見えていた。祖国を統治しているのは、工場を支配しているのと同じ日本人なのだ。異国の労働者でいるよりも祖国の奴隷のほうがまし、とジョンハンは言いたいのだろうか。イスンは冷えた空気に身慄いしながら、ジョンハンに名を呼びかけた――表題作「海猫の啼く日に」ほか、「手帖」「贈られた絵」「裏金」「万引き」など、短編小説集。
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■目次
海猫の啼く日に
手 帖
贈られた絵
裏 金
万引き
夫の消息
冬のうなぎ
祖父の外出
繭ごもり
ストーカー
折れた翼
[著者紹介]
山田直堯(やまだ・なおたか)
1938年、岐阜県生まれ。ニュース映画制作、新聞記者、出身。
1985年『赤い服』で第11回中央公論新人賞候補になる。
著書に、『赤い服』(青弓社、1989年)、『回帰線』(青弓社、1990年)、『山田直堯短篇小説〈オーディオ版 全3巻〉』(レッドクローズ、2008年)、『宇宙飛行士のペン』(作品社、2012年)、『袋小路の人びと』(風媒社、2018年)。歌集に『波は照らせり』(私家版、2017年)、『楼蘭の美女』(私家版、2020年)などがある。 |
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