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戦後幼児教育問題史

著者: 竹内通夫

本体価格: \6,500(税別)
サイズ: A5判上製 444頁
ISBN: 4-8331-0619-1
発行年月: 2011年10月刊

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■内容説明

「幼児期の教育・保育」問題の歴史的変遷を辿り、現在、喫緊の課題である幼保一元化・長時間保育・待機児問題・教育格差問題等について、議論の意味を整理・分析し、その背後にある「子ども観」「教育観」の本質に迫る。
 

■目次

序章 本書の問題意識

第T部 幼児教育内容問題

第1章 知的早期教育・才能教育問題
第1節 知的早期教育の現状
1 知的早期教育の現況
2 知的早期教育興隆の社会的背景
3 知的早期教育論における幼児の知能観及び教育観
第2節 才能教育の実践―すべての子どもに才能教育を 鈴木鎮一の才能教育論―

第2章 幼児の文字教育問題
第1節 戦後教育と幼稚園教育要領
1 アメリカ教育使節団報告書にみられる言語教育観(一九四六年)
2 幼稚園教育要領における「言語」領域の変遷
3 就学前幼児の文字力―国立国語研究所の調査(一九六七年)―
第2節 幼児の文字教育論@―文字指導否定論―
1 情操教育を第一義に―羽仁説子・大久保忠利の見解―
2 幼児期の言語教育は読書への準備―荘司雅子の見解―
3 日本教職員組合教育制度検討委員会の見解(一九七四年)
第3節 幼児の文字教育論A―文字指導積極論―
1 幼児にかな文字を教えよう―須田清のかな文字指導論―
2 幼児の読み書き能力と文字指導―藤田恭平の文字指導論―
3 幼稚園・保育所での文字指導―大久保愛の文字指導論―
4 幼児期における文字指導の問題―日本教育心理学会のシンポジウム(一九七七年)―
第4節 幼児の文字教育論B―才能開発論にもとづく漢字教育―
第5節 石井式漢字教育の効果に関する諸研究
1 漢字学習のやさしさについて―広島大学グループの研究―
2 石井式漢字教育の効果について―黒田・柏野の追跡研究―
3 石井勲による黒田への反論

第U部 幼児教育制度問題

第3章 幼保一元化問題
第1節 幼保一元化の歴史的背景
第2節 敗戦直後における幼保一元化論
1 国会審議における幼保一元化論@
2 国会審議における幼保一元化論A
3 日本教育会の幼保一元化論(一九四六年)
4 倉橋惣三の幼保一元化論
5 「学校教育法」成立過程における幼保一元化論
第3節 児童福祉法成立前における幼保一元化論
1 全国児童福祉大会における幼保一元化論(一九四七年)
2 「幼保一元化」に関する厚生省の見解(一九四七年)
3 国会審議における幼保一元化論B
第4節 政府・審議会・教育団体における幼保一元化論
1 児童福祉法改正(一九五一年)をめぐる論争―「保育に欠ける」の解釈をめぐって―
2 文部省・厚生省の共同通達にみられる幼保一元化論(一九六三年)
3 二元化が固定―幼稚園教育要領の改訂と保育所保育指針(保育は、養護と教育の一体化)の作成―
4 中央教育審議会答申をめぐる「幼保一元化」論争―日本私立幼稚園連合会の見解(一九七〇年)―
5 中央児童福祉審議会の「幼保一元化」構想(一九七一年)
6 「幼児の保育及び教育に関する行政監察結果に基づく勧告」―行政管理庁(一九七五年)―
7 「保育基本法」案にみられる「幼保一元化」構想―日本保育協会(一九七〇年)―
第5節 政党・日本教職員組合の幼児教育改革案
1 新自由クラブの「教育改革」試案(一九七七年)
2 日本社会党の「教育改革」案(一九七八年)
3 自由民主党の「幼児保育基本法」案(一九七九年)
4 日本教職員組合教育制度検討委員会の「保育一元化」構想(一九七四年)
第6節 「幼保一元化」論―研究者の見解―
1 権利論からみた幼保一元化の主張
2 「児童省」の設置による幼保一元化―山下俊郎の見解―
3 家庭教育の重要性と幼保一元化慎重論―牛島義友の見解―
4 幼稚園と保育所の関係についての基本的問題―岡田正章の見解―
5 幼保一元化への道―浦辺史の見解―
第7節 「幼保一元化」実践論
1 真の幼保一元化をめざして―北須磨保育センターの理論と実践―
2 大阪府交野市の幼保一元化の実践
3 幼稚園・保育所の適正配置・長時間保育・幼保一元化問題
4 「認定子ども園」の発足

第4章 「長時間保育」問題―少子化対策と待機児問題―
第1節 長時間保育の社会的背景
第2節 長時間保育の現状と諸問題
1 初期の長時間保育問題―シンポジウム(一九六八年)―
2 働く婦人の保育問題
3 0歳児長時間保育論―日本教職員組合教育制度検討委員会報告書(一九七四年)―
4 「討論 長時間保育」における論争―『思想の科学』(一九七三年)における討論―
5 中央児童福祉審議会答申―「長時間保育」慎重論(一九七四年)―
6 行政管理庁勧告における「長時間保育・夜間保育」(一九七五年)
7 だれのための長時間保育か―守屋光雄の長時間保育論批判―
8 長時間保育に関する研究@―「過度な依存欲求」―
9 長時間保育に関する研究A―長時間保育に問題あり―
 長時間保育に関する研究B―長時間保育は、「保育の質」の問題―

第5章 幼児教育義務化問題―就学年齢引き下げ論・幼稚園義務化論―
第1節 幼児教育義務化論の概観
1 幼児教育義務化論の内容
2 幼児教育義務化論の時代区分
第2節 幼児教育義務化論第T期(一九四六年―一九六二年)
1 幼児教育刷新方策案―日本教育会の幼稚園義務化案―
2 アメリカ教育使節団に対する日本側教育委員会報告書の「一〇年制義務化」案(一九四六年)
3 アメリカ教育使節団報告書にみられる幼児教育制度論(一九四六年)
4 教育刷新委員会の幼児教育義務化論(一九四七年)
5 文部省の幼児教育に関する見解(一九五〇年)
6 幼児教育研究者の見解―長田新・山下俊郎・荘司雅子の義務化論―
第3節 幼児教育義務化論第U期(一九六三年―一九七一年)
1 政治的・社会的要請による幼児教育義務化論
2 政党の幼児教育改革案―日本社会党の「幼児学校構想」(一九六六年)―
3 経済界の幼児教育義務化論―経済団体の五歳児就学論―
4 教育諸団体の幼児教育義務化論
5 幼児教育義務化論@―研究者の義務化論・教育制度論―
6 幼児教育義務化論A―教育団体の義務化慎重論―
7 幼児教育義務化論B―研究者の義務化慎重論―
第4節 幼児教育義務化論第V期(一九七一年―一九八〇年)
1 中央教育審議会答申にみられる幼児教育改革案(「先導的試行」案 一九七一年)
2 教育諸団体等の改革案
3 日本社会党の幼児教育改革案(一九七八年)
4 0歳からの保育の原則を―日本教職員組合教育制度検討委員会の改革案(一九七四年)―
5 幼児教育義務化論―研究者の義務化論・教育制度論―

第6章「保育職の専門性」問題
第1節 専門性論議の国際的潮流
1 「ミッション・レポート」における教職の専門性論(一九四六年)
2 ILO「教員の地位に関する勧告」(一九六六年)
3 「幼児教育職の専門性」議論
第2節 幼稚園教諭及び保育士資格とその現状
第3節 「専門職としての保育者」論
1 中央児童福祉審議会の「保育職の専門性」論@(一九六四年)
2 中央児童福祉審議会の「保育職の専門性」論A(一九七六年)
3 日本学術会議の「保育者養成論」―勧告案(一九六九年)―
4 保母職の専門職化への道―保母会(現全国保育士会)の「保育士法案」―
5 「保育士法」案に対する批判@―浦辺史の見解―
6 「保育士法」案に対する批判A―保育問題研究協議会の見解―
第4節 保育職専門性の三要因とその問題点
1 保育職専門性の三要因
2 保育者養成制度の問題―全国保育士会「倫理綱領」と「保育所保育指針」―
3 保育者の社会的地位の確立
4 保育者の資質能力の向上―文部科学省審議会答申を中心に―
5 私の保育者論

第V部 わが国の「学力」問題と「教育格差」問題 アメリカからの示唆とわが国の諸問題

第7章 発達と教育の社会的背景―ハントとバーンスタインを中心に―
第1節 発達の社会的性格
第2節 知的能力の発達と教育
1 階層とIQ
2 コンピテンスの発達
第3節 J・ハントの知能観と発達観
1 ハントの知能観
2 ハントの発達観
第4節 B・バーンスタイン仮説の提起したもの
1 「バーンスタイン仮説」の誤解
2 バーンスタインの教育観
3 ブルデューの「文化的格差の再生産」論
第5節 知能・学力の社会的背景
1 人種・民族とIQ・知的能力
2 文化と知能能力―ブルーナーの理論―
3 「貧困サイクル」をめぐって
4 貧困の定義について

第8章 いわゆる能力の「欠陥説・差異説」問題
第1節 欠陥説・差異説の分析
1 欠陥説・差異説とウィリアムズの見解
2 欠陥説・差異説をめぐるラボフとトラッドギルの見解
3 バーンスタインとラボフ
第2節 発達と文化的差異―J・ブルーナーの理論について―
1 欠陥説による解釈
2 差異説による解釈
3 ブルーナーの欠陥説否定論
第3節 コンピテンスの探究―J・ブルーナーの主張―
第4節 教育的達成と社会的背景に関する諸理論

第9章 「知的発達の背景としての潜在的カリキュラム」問題
第1節 潜在的カリキュラムとスクール・カリキュラム
第2節 二つの言語発達論
1 ベライターとエンゲルマンの言語教育論
2 チョムスキーの言語普遍性論
第3節 知的能力の発達を規定する非知的要因
1 潜在的カリキュラムにおける非知的要因
2 潜在的カリキュラムの担い手としての母親
3 不遇児に与える家庭規模=兄弟数の影響
第4節 わが国における学力遅滞・学力低下の問題
1 学力低下・学力遅滞の問題
2 高校不進学者発生の社会的・家庭的要因

第章 「インターヴェンション(intervention)としての補償教育」問題
第1節 補償教育の理念およびその性格
1 補償教育の理念
2 補償教育の登場
3 補償教育プログラムの性格
第2節 補償教育プログラムの効果
1 就学前教育計画の比較研究―ウェイカートによる三つのプログラムの比較研究―
2 補償教育の基礎としての家庭教育―ホーム・スタート計画の実施―
3 就学前教育計画の比較研究―スコットによる比較研究―
4 就学前教育計画の比較研究―ミラーとダイヤーによる研究―
5 レーベンスタインによる「母子ホームプロジェクト」(Mother-child Home project)
第3節 アメリカにおけるヘッド・スタート計画の効果
1 ヘッド・スタート計画が子どもの知的発達に与えた影響
2 ヘッド・スタートが子どもの社会的情緒的発達に与えた影響
第4節 補償教育の評価
1 ジェンクスの見解
2 ヘッド・スタート計画に対するハントの評価
3 幼児教育プログラムの縦断的研究による効果の研究―アメリカの場合―
第5節 補償教育と家庭教育

第章 わが国における「学力」問題と「教育格差」問題
1 「学力問題」の背景
2 今日の「学力低下」論の時代背景
3 現在の学力論の諸問題
4 「学力低下」論批判
5 「教育格差」の背景
6 PISA型学力は「二一世紀型学力」になりうるか
7 教育格差論に欠如しているもの―いくつかの疑問点―
8 就学前教育の新しい問題―OECDの「提言」―

終章 幼児教育の本質

あとがきにかえて

人名索引
事項索引
 
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