*(本田瑞穂さんのブログ日記から)
家族Aがすっかり寝て、家族Bが出かけて、しばらくして完全に静かになったとおもったときに外に出る。夕方からずっと甘いものが食べたくて買いにいきたかった。家族に出かける気配を感じさせたくないから、ABが寝る、あるいは出かけるのをずっと待っていた。こんないなかで、テレビでみる遊園地みたいなケーキはのぞむべくもないが、24時間スーパーのすみにあるケーキカウンターへむかう。
この道を一直線にゆけば、スーパーの裏の入り口に出る。ここらは最近建ったビル型の住宅が多くて、天辺が平らで屋上がついていたりする。屋上のある家っていいなあ。夜を簡単にみにあがることができる。
外はぼんやりけぶっている。ずいぶん暖かくなったんだな。
(松平アナウンサーえらいよねえ、NHK辞めないし、民放へもいかない。もう報道の第一線に戻ることなんて絶対ないのは、本人が一番よくわかっているだろうのに)
スーパーの自動ドアをはいってケーキカウンターに向かう。 「あ、ニーチェだ」 「ほんとだ、安ぅーい」 うしろで声がする。ニーチェ? 振り返ってみた。 あ、なんだフルーチェか。フルーチェとニーチェ聞きまちがえるなんて。
(高知はわたしのNHKの初任地なんです、って松平さん言ってたな)
ケーキカウンターをながめる。なににしようかな。スポンジ生地のものより、しっとりしたかんじのものが食べたいなあ。ブルーベリーレアチーズケーキにしよう。
(立つ時はいつも手を前できちんと組んでいるの)
自動ドアを出て、車の止まっていない駐車場をつっきって歩く。がらがらの夜の駐車場、とても好き。出入り口のチェーンをまたいで路地に出る。月、かさかぶってるなあ。おっと、上ばっかりみてると、つまずいてケーキつぶすよ。
(番組の最後も松平さんは丁寧におじぎする)
この角に差し掛かると、いつもぱっとあかるくなる。家の前にセンサーが仕掛けてあるらしい。それで、人を認識すると電気がつく。けっこうあかるい。スポットライトみたい。
(「今夜もご覧いただきありがとうございました」)
ふぅ、
ただいま
|