短歌ヴァーサス 風媒社
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★短歌ヴァーサスは、11号で休刊になりました★
2004.8.2〜2006.6.30の期間(一時期、休載期間あり)、執筆されたバックナンバーをご紹介します

 
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斉藤倫

 
傑作スパム(ステルスのカブリオレさんのブログ日記から)

 「日本人の16人に1人がこれにかかっています」
 とか、
 「玄関においたペットボトルの本当の意味を知っていますか?」
 とか、
 「ねえ、あの映画に出てた俳優だれだっけ?」
 などなど、
 最近のスパムメールのタイトルはかなり秀逸!
 とりあえず開かずにはいられないレトリック満載です。

 そして昨日、ついにここまで来たか!というメールが・・・

 そのタイトルは:

 「ニーチェです」

 えー、ニーチェから!? と、私は思わず病気のおじいさんのために温めたスープを手から取り落とすところでした(ウソ)。

 あまりにも力作なので以下、全文紹介します。


 「永遠の愛を語り合えるパートナーがほしい・・・
 そんなロマンチックな女性のために、ヨーロッパ系の外国人男性専門の紹介サイトです。
 日本語もばっちり。カタコトではありますが、それもまたまたかわいいと好評。
 そんなメンバーがあなたをお待ちしています。
 さて、わたくしフリードリヒ・W・ニーチェは、ドイツ出身のオーストリア育ち。日本に来てもう4年になります。
 元は貴族の出で、祖父の代までは小さいながらも森や城を所有していました。現在は、日本の某大学で哲学の客員教授をしており、いくつか著書もあります。(「神は死んだ」「永劫回帰」などのフレーズでご存知の方もいらっしゃるかもしれません)。
 日本は非常にすばらしい国。そう思っていましたし、当初の感想もそうでした。
 ただひとつがっかりしたのは、恋愛に、刹那的な、その場限りの喜びを求めている女性の多いこと。これはわたくしにはショックでした。ヤマトナデシコのイメージとあまりにかけ離れていたからです。
 わたくしの周りの外国人男性にも同じ感想をもつ人が多かったため、一念発起し、このようなサークルを作ったわけです。
 日本女性にも、永遠の愛を求める、知性高い淑女はいるはずだ、との思いを胸に、こうしてメールを差し上げております。そのような男性に巡り会いたいと願っているあなたの期待を裏切らない、知性・身分・容姿を兼ね備えたメンバーが多数在籍しております。
 プラハ出身のフランツ・カフカ。彼はもと役人の実直な男ながら、かなりのユーモリストで、あなたを退屈させません。
 ロシア系のニコライ・ゴーゴリ。高い鼻が印象的。いつもおしゃれな外套を着た、大陸的ファッションセンスの持ち主。
 フランスの良家の出身、マルセル・プルースト。繊細でありながら、ときおりあふれるセクシーな魅力。機会があれば、手作りのマドレーヌをふるまってくれるでしょう。
 まだまだ、たくさんの個性的で魅力的な男性が、あなたの返事をお待ちしております!」
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